A Case of Circumferential Tubulovillous Adenoma of the Rectum Treated by Rectal Mucosectomy and Partial Resection of the Rectum Reconstructed by Procto-anal Anastomois with a Transverse Colopolasty Pouch

下部直腸の全周性結節集簇様病変の1例について手術治療に関しての文献的考察を加え報告する.症例は60歳,女性.2001年9月の職:場検診にて直腸病変を指摘された.11月20日,手術目的で当科入院.精査の結果,下部直腸全体を占拠する結節集簇様腺管絨毛腺腫と診断した.2001年11月28日,直腸部分切除をともなう下部直腸粘膜筒状切除術を施行し,transverse coloplasty pouchを作製して直腸肛門吻合を行った.回腸瘻も造設したが6カ月後に閉鎖し,その後の経過は良好である.大きな結節集簇様病変では,内視鏡的切除が困難で,悪性成分の混在もあり得るため外科的切除の適応になる.下部直腸の全周性病変に対しては括約筋機能を温存するため粘膜筒状切除術の適応があるが,腫瘍の遺残や術後便失禁等の機能障害も報告されている.自験例では腫瘍の完全切除に加えて,良好な排便機能を保つことができた.