Sustainable Malaria Education (3) : School Based Malaria Intervention in East Lombok (SBMI EL)

〔抄 録〕 2005年にマラリア・アウトブレイクが発生したインドネシア西ヌサテンガラ州の 東ロンボク島では,今年もマラリア感染者数は減少傾向にある。本国際共同研究「マ ラリア・コントロール・プログラム」では,2012年度よりマラリア制圧戦略として, 「小学校を基盤とする持続可能なマラリア教育メソッド(Mataram University Method for Sustainable Malaria Education: MUM/SME)」の開発を決定した。ま ず,2013年 1−2月に予備調査を実施し(『社会学部論集』第 56号,第 57号参照), 同年 6−8月に小学生 800名を対象とする同教育メソッドの本格的な実践をスタート した。小学生がマラリアの医学知識を自主学習できる教育メソッドを開発し,かれら が“ヘルスメッセンジャー”として学校や家庭,コミュニティにおいて,マラリア予 防のために活躍できることを目標とする。 この「持続可能なマラリア教育メソッド」の効果を検証した結果,同教育メソッ ドの実践によって,1マラリア全般知識水準に統計的有意な向上が見られた。2マラ リア知識についての 8基本項目すべてにおいて顕著な向上が見られた。3同教育メ ソッド全般について,参加した生徒の大多数(86%)から「興味深い」「理解しやす い」という回答を得た。4とくに,同教育メソッドで導入された〈マラリアコミッ ク〉〈マラリアの語り部〉〈マラリアに関するゲーム〉について,参加した 95パーセ ントの生徒から高い評価を得た。なかでも〈マラリアコミック〉が一番人気であった (55%)。東ロンボックの農村地域では,娯楽がほとんどなく,〈コミック〉の導入 は,小学生のマラリア知識の向上に非常に有効であった。今後は,小学生がマラリア 撲滅のために“ヘルスメッセンジャー”として,学校や家庭,地域社会で活躍できる 「マラリア見守り隊(Malaria School Scout)」の創設に取り組む。