A CASE OF MALE BREST CANCER

は じめに 男 子乳癌 は比較 的 まれ な疾 患 であ り,全 乳癌 症例 の 1%前 後 といわ れて い るが,そ の重 要 性 は女子 乳癌 と 変 る こ とな く,早 期診 断,早 期治療 が鉄則 で あ るが, それ に もか かわ らず女 子 乳癌 に比 べ関 心が 薄 く,早 期 治療 の時期 を失 し,た め に予後 不 良 な症例 も少 な くな い.最 近,私 共 は67歳 男 子 の乳癌 を経 験 した ので, 2, 3の 文 献的 考 察 を加 え報告 して お きた い. 症 例 患 者: 67歳,男 子,農 業. 主訴:左 乳房 の腫 瘤形 成. 家族 歴,既 往 歴:特 記 事 項 な し. 現 病 歴:約5カ 月前 頃,左 乳 頭部 の 米粒 大腫瘤 に気 付 いた が,自 覚 症状 が な いの で放置 してい た.そ の後 腫瘤 の増 大 傾 向,皮 膚 の発 赤 に加 え潰瘍 を 生 じたた め 受診 した. 局 所所 見:写 真1, 2に 示 す よ うに,左 乳 頭部 に栂 指頭 大 の皮 膚 の発 赤 お よび 潰瘍 と乳 頭 の陥 凹 を認 め る.発 赤 に一致 して約3.0×2.0cmの 弾 性 硬,表 面 凹 凸 不整 の腫 瘤 を触 れ,皮 膚 との可 動性 は ない が,基 底 部 とは 可動 性 があ る.な お,左 腋 窩に 小指 頭大 の硬 い リ ンパ節 を触 れ る(Tie, N2, Mo, stage IIIb). 臨床検 査成 績:血 液 一般,肝 腎機 能,電 解 質 な どに 異常 所見 は ない.内 分泌 検査 でProgesteron, Estrogen 値 の軽度 上昇 が認 め られ る. 経 過:潰 瘍 部 の擦 過 塗 抹 標 本 を 作 りPapanicolaou 染色 で は写真3の よ うに ク ロマ チンに 富み,核 小体 も 著 明に あ り, Class Vに て乳癌 と判 断 した.定 型的乳 房切 断術(Br+Ax+Mj+Mn+Ps)を 施行 した.腫 瘤 は約2.0×3.0cmで 皮 膚 に 浸潤 性 に波 及 し,リ ンパ節