Insecticide resistance of the cotton aphid, Aphis gossypii Glover (Homoptera: Aphididae). V. Relationship between host preference and organophosphorus resistance.

ワタアブラムシの寄主選好性と有機リン剤抵抗性との関係を,本種のクローンや個体群を用いた寄主転換試験などにより検討した。1) ウリ科作物(メロンおよびキュウリ)由来のクローンをナス科作物(ナスおよびジャガイモ)に接種すると,元の寄主作物に接種した場合に比べて,接種した親虫の生存期間が著しく短くなり,産子数も大幅に減少した。また,産子された幼虫の発育や増殖も悪くなり,クローンを維持できなくなる場合が多かった。これと逆の組合せにおいても同様の傾向が認められた。以上の結果は接種源が有翅虫であっても無翅虫であっても同じであった。適合性の低かった植物でクローンの飼育を続けても,産子数が顕著に増えるといった傾向は認められなかった。2) イチゴ由来のクローンをナス科作物に接種すると,産子数が比較的多く,その後代の増殖も良好であった。しかし,ウリ科作物に接種した場合は,産子がほとんど行われなかった。一方,ウリ科作物とナス科作物由来のクローンはイチゴに対する産子数が比較的多く,その後の増殖も良好であった。3) クローンのアリエステラーゼ活性値は寄主植物が違ってもほとんど変動しなかった。4) メロンで採集した個体群をナスに接種すると,一時的な定着は起こっても,3か月以上生存できる個体はまったく検出されなかった。これと逆の組合せにおいても同様の現象が認められた。5) キュウリとナスを同一圃場に混植し,寄生個体のアリエステラーゼ活性を測定したところ,前者では高活性個体の,後者では低活性個体の検出頻度が高かった。6) オオイヌノフグリで胎生越冬したと思われる個体群のなかには,メロンとナスに対する選好性の異なる個体が混在していた。アリエステラーゼ活性はメロンを選好した個体で高く,ナスを選好した個体で低かった。7) 以上の結果から,ワタアブラムシにはウリ科作物あるいはナス科作物を選好する少なくても二つの系統が存在し,前者には有機リン剤抵抗性の高い個体が多く,後者にはそれの低い個体が多いことが推察された。両系統はバイオタイプが異なるものと考えられた。