Development of a 133-megapixel Image Sensor and a Full-resolution 8K Single-chip Camera System

NHKでは,3300万画素の超高精細映像と22.2マルチチャ ネル音響からなる8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)の 研究開発を進めている.2016年8月には,放送衛星を用い た4K・8Kの試験放送が開始された.2018年には実用放送が 開始される予定である. 8Kの映像パラメータは,ITU-R勧告BT.2020 1)(以下, Rec. 2020)として標準化された.Rec. 2020では,RGBとも に3300万画素のフル解像度,フレーム周波数120Hz,階調 12 bit,広色域表色系が最上位の映像パラメータとして規定 されている.これに加えて,映像のダイナミックレンジ (明暗の幅)を拡張するためのハイダイナミックレンジ (HDR: High Dynamic Range)の規格であるITU-R勧告BT. 2100 2)も標準化された.8Kの最上位の映像パラメータをす べて満たし,HDRに対応した8K映像規格を「フルスペッ ク8K」と呼ぶ. 2016年にフルスペック8Kに対応したフル解像度8Kカメ ラ3)が開発された.これは,3300万画素の撮像素子を3枚 用いた3板式によるものである.3板式で設計する利点は, 入射光を波長ごとに分解する色分解プリズムによって光の 利用効率を高め,かつフル解像度を画素補間処理なしで実 現できる点にある.一方,3板式で設計する場合は色分解 プリズムが必要であり,そのため,一般には3板式カメラ は小型化が困難となっていた.将来の実用的な8Kカメラ の実現を目指すためには,カメラヘッドの小型化が必要と なる.そこで,色分解プリズムが不要で,1枚の撮像素子 でRGB3色の映像信号を取得する単板式を用いた8Kカメラ を開発することとした. 単板式でフル解像度に対応させるためには,RGBそれぞ れ3300万画素,総画素数9900万画素以上の画素数が必要 である.1枚の撮像素子でこのような多くの画素数を持ち, かつフレーム周波数60 Hzで動作する動画用撮像素子を実 現するためには,イメージセンサ内でのAD変換の高速動 作が求められる.そこで,32カラム共有・逐次比較型AD 変換器(以下,ADC)を用いることで,1億3300万画素でフ レーム周波数60 Hzに対応した撮像素子4)を開発した.本 撮像素子を用いてフル解像度8K単板カメラシステム5)を試 作して,単板式で初めてフル解像度(60 Hz)での撮影を実 現したので報告する. 本稿では,2章で1億3300万画素CMOS撮像素子の仕様 とその評価結果について説明する.3章では,カメラシス テムの構成,機能,性能および撮像実験の結果について述 べる.

[1]  Yuji Nojiri,et al.  A Camera System Using Three 33-megapixel CMOS Image Sensors for UHDTV2 , 2010 .

[2]  Tetsuya Hayashida,et al.  6.2 133Mpixel 60fps CMOS image sensor with 32-column shared high-speed column-parallel SAR ADCs , 2015, 2015 IEEE International Solid-State Circuits Conference - (ISSCC) Digest of Technical Papers.