Clinicopathological study on venous invasion in colorectal carcinoma.

最近5年間の大腸癌切除例のうちm癌を除く176例について, ビクトリアブルー-ヘマトキシリンエオジン染色を行い, 静脈侵襲の頻度と意義を検索した. 静脈侵襲は98例(55.6%)に認められ, 侵襲静脈は200μm以下が65.9%でもっとも多く, 粘膜下層と漿膜下層にはほぼ同頻度に認められた. 組織型では低分化腺癌で66.6%と高率で, 高および中分化腺癌では53.7%と57.5%で差がなかった. 肝転移のある24例中23例に静脈侵襲が認められ, 両者の密接な関係が示された. 静脈侵襲陽性例の5生率は35%で, 陰性例の62%に比べ有意に不良であった. 大腸癌では胃癌よりも静脈侵襲の意義が大きいこと, その検索に本染色法が有用なことを指摘した.