ATMOSPHERIC WATER BALANCE AND GLOBAL HYDROLOGIC CYCLE

大気柱の水収支から年水蒸気収束量はほぼ年降水量-年蒸発量に等しくなる. この情報を利用し, 従来の流域水収支と結び付けると流出量や蒸発量, 流域貯留量の変化などを算定することができる. この様な水収支解析手法 (大気水収支法) により地球規模の水循環と水収支を明らかにした. まず, 流量データによって水蒸気収束量の精度を検討した上で, 全球の降水量推定値や河川流量データと組み合わせて蒸発量や流域貯留量の分布を地球規模で明らかにした. また, 海洋間の淡水輸送状況や, 地球規模での水の南北輸送における河川の役割の重要性も示された. この様に大気水収支法は地球規模の水収支と水循環とを算定する有力な手法であり, 今後のデータ整備にともないそれらの変動のモニタリングにも利用できるものと期待される.