AN EVALUATION OF THE LONGTERM SETTLEMENT OF OFFSHORE MAN-MADE ISLANDS

地球環境の保全という現代の最優先課題を前にして, 海上埋立は安易に行われてはならない. しかし, 廃棄物 の最終処分場や空港等, 内陸部への設置が困難な施設に ついては, 海上も候補地となり得るであろう. 最近の海上埋立地は, 大水深海域に立地し, 広大な面 積を持つ人工島とされる場合が多い. これらの建設条件 は, 在来の海底地盤に大きな荷重増加を深所にまで及ぼ すという結果を生み, 地盤工学にとって経験が蓄積され ていない世界に踏み込まざるを得ない事態が生じている. 海底面から軟らかい粘土層が数十m続 く場合, サンド ドレーン工法や深層混合処理工法など, 早急で確実な地 盤改良工法が適用できる. しかし, 軟らかい粘土層の下 に砂礫層などが存在すると, これを打ち抜いて深層の粘 土層を改良することは, 工期工費ともに現実的でなくな る. この点, 幸いにも深層の粘性土は, 既往の上載荷重 より大きな圧密降伏応力を持つことが室内試験の結果か ら知られていた. そして事実, 水深10mラ イン程度まで の埋立てによっては, 深所の粘性土層が新たに圧密を起 こしたという証拠はなかった. ところが, 先述の大水深 大規模埋立がこのような幸運を反故としてしまい, 今や 地盤改良の手が及ばない深所での圧密圧縮問題に直面す ることとなったのである. 埋立地盤およびそれに立地する構造物の沈下挙動を予 測することの重要性はいうまでもない. ここで, 地盤沈 下が収束値を持つか(終 了するか)と いう問題を別とす れば, 沈下挙動を予測する理論は確立している. 地層の 3次元的な分布と各層の密度, 土粒子密度, 圧密降伏応 力, 圧縮 ・膨潤指数, 圧密係数, 透水係数がわかれば, 埋立地盤上の任意地点の沈下曲線を出力してくれるプロ グラムがいくつか供用されている. しかし, 現行の地盤 調査技術が地下数百mの 深度までの上記の地盤情報を正 確に与えてくれている保障はない. 特に圧密降伏応力は 重要な土質パラメータでありながら, 試料の取扱い方法 や試験方法によって変化するといわれている. したがっ て, 当該地盤および立地構造物の沈下挙動については, 現在は未だ理論的に予測する段階ではなく, 観測成果の 蓄積に努めるべき時代であると考える. この間に地盤情 報の抽出技術を発展させ, 然る後に観測成果を理論解析 して地盤パラメータの同定に進むのが正道と考える. 本論文は, わが国において最も早期に実施された大深 度海域への大規模埋立の1つである神戸ポー トアイラン ドおよびそれに続く六甲アイランドの地盤と立地構造物