Marine Terraces and Tectonic Uplift along the Echizen Coast, Fukui Prefecture, central Japan

越前海岸に分布する海成中位段丘群について,空中写真判読,野外調査および堆積物中に含まれるテフラを基に段丘を区分し,その形成年代を求め,隆起速度を推定した.越前海岸に分布する中位段丘群は,高位よりM1段丘,M2段丘,M3段丘に区分できる.また,段丘堆積物中およびこれを覆う表土からテフラを抽出したところ,M1段丘堆積物を覆う表土から大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラを,M2段丘堆積物中から三瓶木次テフラを,M2段丘堆積物を覆う古土壌から鬼界葛原テフラ,阿蘇4テフラを,表土から大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラ,鬼界アカホヤテフラを見出した.これらのテフラの産状および地形的特徴から,M1段丘は南関東の下末吉面に,M2段丘は小原台面に,M3段丘は三崎面に対比できる.各段丘の旧汀線高度,形成年代および古海面高度から平均隆起速度を求めたところ,最大で1.2m/1,000yrs,中・南部地域では0.6~0.9m/1,000yrs,北部地域では0.2~0.5m/1,000yrsという値が得られた.また各段丘から得られた平均隆起速度は,同一地域ではほぼ同じ値となっており,後期更新世以降,隆起速度はほぼ一定であった.この越前海岸の最大1m/1,000yrsを超える隆起速度は,甲楽城断層の東側ブロックの隆起運動と関連するものと思われる.