Asymmetric Interaction between Mandelic Acid and Aromatic α-Amino Acids in Aqueous System

水中での芳香族アミノ酸とマンデル酸の相互作用を考察し,つぎのような結果を得た。 水中の光学活性芳香族アミノ酸の溶解度はマンデル酸の存在でいちじるしく増加した。チロシン,トリプトファンについてはマンデル酸の光学異性体間の溶解効果に差は認められなかった。L-フェニルアラニン(L-Phe)についてもマンデル酸濃度が低い範囲ではマンデル酸の立体構造に関係なくその溶解度は増加したが, L-マンデル酸濃度が0.35mol/l, D-マンデル酸の場合は0.85mol/l以上でL-Pheとの複合体が沈殿し,溶解度の増加はなかった。 L-Pheの水溶液にDL-マンデル酸を加えるとL-マンデル酸を多く含んだ沈殿が析出した。 L-Phe:マンデル酸の混合比を変化しても,マンデル酸の分割率は一定で約70%であった。この複合体は元素分析の結果1:1の組成比であることがわかった。 L-PheとD-, L-マンデル酸のジアステレオマーの赤外吸収スペクトルは全波数領域で異なり,複合体形成の容易さは立体化学的にL-Phe-L-マンデル酸が有利であることを推定した。