A grammar of Irabu, a southern Ryukyuan language

Michinori Shimoji2017 “A Grammar of Irabu: A Southern Ryukyuan Language”(以下, Shimoji2017)は,南琉球宮古語伊良部島方言の音韻論,単文,複文までの文法体系全体 を網羅した記述文法である。Shimoji2017は,著者が 2008年にオーストラリア国立大学 に提出した博士論文(以下,Shimoji2008)にその後の研究成果を取り込んで書籍化した ものであり,英語で書かれている。Shimoji2017の後,直ちに日本語版の出版を進め, 下地理則 2018『南琉球宮古語伊良部島方言』(以下,下地 2018)を刊行している。 Shimoji2008は,琉球諸語の若い研究者たちにとって参照文法の役割を果たしていた。 琉球諸語に関心をもつ外国の研究者も増えている。琉球諸語の詳しい記述文法の出版が 望まれていた。Shimoji2017と下地 2018の刊行は時宜を得たものである。本書は,出版 されたものとして宮古語はもちろん,琉球諸語の中でも最も詳しい記述文法である。