Recent Progress of 3D Measurement, Recognition and Modeling of Large-scale Environments

昨年末のトンネル天井落下事故が示すとおり,わが国 の社会インフラは,高度経済成長期に建設されたものが多 く,急速に老朽化が進んでいる.そして財政上の問題か ら,このままでは,更新はおろか維持管理も行えない状況 が 2030 年ごろに訪れると予測されている.また化学工 場などの大型プラントも同様の問題を抱えており,老朽化 に起因する事故が最近増加している.したがって,今 後,いかにして安全性を担保しつつ,計画的な維持管理と 改修によって,このような施設の長寿命化を図るかが,社 会的に大きな課題となっている. 一方で,長距離非接触レーザスキャナや GPS・移動計 測デバイスの進歩により,大規模な実環境を高密度・高速 に 3 次元測定し,現況が反映された“as-built”もしくは “as-is”な 3 次元モデルを生成できる技術が現れてきた. 図 1のように,この技術により,社会インフラやプラン ト等の as-built モデルを構築し,このモデル上に不具合や 改修履歴をデジタルデータとして記録してゆくことで,施 設の適切な維持管理計画が可能となり,老朽化の抑制に効 果を発揮できるのではないかといった期待が高まって いる. この技術は,長距離レーザ計測や形状処理,情報モデリ ングなどを基盤とし,本学会が専門とする研究領域とも深 い関りをもつ.そのため筆者らは,数年前から当該技術の 分科会および専門委員会を設置し,産学連携で調査研究活 動を進めている.本記事では,その活動成果を踏まえ, 大規模環境の 3次元計測と認識・モデリング技術の現状に ついて述べたい.