Ca++ in lymphocytes and cellular immune deficiency in patients with chronic renal failure

慢性腎不全で血液透析を行っている患者の末梢血リンパ球内Ca++およびPHAによるCa++ influxを測定するとともに, PHA刺激に対するリンパ球の幼若化反応を正常人と比較することで, 透析患者の細胞性免疫機能について検討した.対象は血液透析患者24名と正常人10名で, 前者は短期透析群 (10.7月) 12名と長期透析群 (131.8月) 12名に分け, リンパ球内Ca++はQuin 2を用いて測定した. リンパ球内Ca++は正常人で0分値127.1±17.1nM, 30分値169.6±42.1nM, 60分値221.6±50.5nMで時間とともに上昇傾向を示し, 血液透析群でも同様の傾向を示した. 短期透析群では30分値145.9±45.9nM, 60分値190.0±65.2nMと低値を示したが, 各群間で統計学的有意差は認められなかった. また, PHA刺激によるCa++ influxの増加は, 正常人が338.3±65.3nM, 短期透析群が301.4±83.7nM, 長期透析群が352.5±142.5nMで, 短期透析群で低値を示したが有意差はなく, PHA刺激に対するリンパ球幼若化率も, 正常人が13.7±7.4, 血液透析群が17.5±11.3で各群間に統計学的有意差は認められなかった.以上により, toxicな尿毒症患者血清からいったん分離されたリンパ球はほぼ正常に近い反応を示し, 増殖機能の低下はほとんど認められなかった. 従って慢性腎不全患者の細胞性免疫機能の低下は, 尿毒症性物質によるリンパ球機能の可逆的抑制やリンパ球数の低下に起因するのではないかと考えられた.