農地・水・環境保全向上対策実施地区における世帯類型別の共同活動参加意向

農地・水・環境保全向上対策が終了した後に,農業資源を保全するために協力してもよいとする住民の負担条件を,三重県内の24の活動組織において1,886世帯を対象に調査した.設定条件下で合意率が最も高かった負担条件は,農家,非作業農家,非農家ともに,資源維持作業1回/年と環境向上作業1回/年であった.このときの合意率は,すべての世帯類型において過半数(54.6%~56.0%)となった.この住民負担条件は,農地水対策の前に実施された類似研究の結果より大きな負担を住民が容認したことを示す.このことは,農地水対策に取り組んだことで,農業資源保全管理に対する住民の理解が深まったためと考える.しかし,住民にさらに多くの作業を要請したり,あるいは全住民が参加するとした作業を計画すると,非作業農家と非農家の協力合意率は著しく低下する.このため,これらの負担条件を念頭において,非作業農家や非農家の共同活動参加への合意形成を一層図っていく必要がある.なお,対策の評価や今後のあり方の議論を深めるためには,対策を実施していない地域でも調査を行うなど,さらなる検討が必要である.