Properties and Conditions of Soils Causing the Dechlorination of the Herbicide Benthiocarb (Thiobencarb) in Flooded Soils

湛水土壌中におけるベンチオカーブ脱塩素反応を起こす土壌の性質および条件について, 室内実験により研究した. 供試した17種類の土壌のうちで, わい化症を起こした水田から採取した2土壌のみがベンチオカーブを脱塩素した. 脱塩素活性の強い大城土壌は, 他の土壌に比べ有効態リン酸含量が高く, リン酸吸収係数および鉄含量が低かった. 脱塩素反応を起こすためには土壌中に有機物の添加が必要であり, 殺菌土壌中では反応は進行しなかった. 脱塩素反応は, ベンチオカーブ添加後10~20日のラグタイムののち進行した. 土壌を湛水下にプレインキュベーションするとラグタイムは短くなり, 反応速度も速くなった. 反応性の高い大城土壌と活性のない安城土壌の混合土壌中では, ラグタイムは混合量比には関係なく一定で, 反応速度および脱塩素ベンチオカーブの最大生成量は大城土壌の含有量にほぼ比例した.