Estimating Head Related Transfer Function Using Multiple Regression Analysis

あらまし ヘッドホン受聴による立体音場呈示では,頭部伝達関数(HRTF)を用いることで,音源定位が可 能となる.しかし,HRTFは音源方位及び被験者の頭部・耳介等の形状に依存した特性関数であるため,すべて の方位及び被験者について測定するのは現実的ではない.本論文では,HRTFが頭部・耳介といった物理的形状 に依存した特性関数であることに着目し,重回帰分析を用いて HRTFと物理的形状との関係を調査し,HRTF の推定を行った.実験結果から,1 kHzから 8 kHzの帯域のHRTFを合成した場合に,78標本の全方位(72方 位)の平均でスペクトルひずみは 3.3 dBとなった.また,各身体的特徴量が HRTFの主成分に及ぼす寄与率を 求めたところ,水平面上の HRTFに対しては,両耳間距離や頭囲が寄与することが確かめられた. キーワード 頭部伝達関数,頭部・耳介形状,重回帰分析,主成分分析,スペクトルひずみ