A CASE OF BREAST CANCER ARISING IN FIBROADENOMA

患者は48歳,女性. 20年前より左乳房に大豆大の腫瘤を触知していたが,大きさが変わらないため放置していた. 1998年9月頃より徐々に増大してきたため, 1999年1月5日当科を受診.来院時,左乳房A領域に大きさ1.7×1.7cm, 境界明瞭,表面平滑,弾性硬,圧痛をともなった腫瘤を触知し,細胞診ではclassVであった.乳癌(T1aN0M0)と診断し, 1999年2月3日,胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織所見では,乳管内を広範に進展する乳管癌の像を認め,一部乳管外への浸潤していた.辺縁には線維腺腫の像を認め,この乳頭腺管癌は腫瘍のほぼ中心に存在しており線維腺腫は周囲に圧排されていた.また,乳管癌が線維腺腫の乳管上皮を置換しながら増殖する像を認め,線維腺腫を母地として発生した浸潤性乳管癌であると考えられた.