A Study of Primary Colorectal Cancer with Primary Cancer of Other Organs

1987年から1996年までの10年間に当教室で経験した原発性大腸癌初回手術症例483例のうち, m癌31例を除いた452例を対象とし, 他臓器癌重複例を非重複例と比較検討した. 452症例中, 重複癌は56例 (12.4%) に認められた. 大腸癌先行群では, 過半数 (58.3%) が5年以上の間隔で第2癌が発生していた. 重複, 非重複両群間で性別, 年齢, 大腸癌家族歴および癌家族歴の有無に有意差は認められなかったが, 重複群では遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (HNPCC) が有意に多く, 多発癌も多い傾向にあった. 他臓器癌の部位は胃が最も多く, 占拠部位は重複群では右側大腸に多い傾向が認められた. 粘液癌は重複群でやや多く認められた. 累積生存率に差は認められなかった. 大腸癌術後のフォローアップには再発の早期発見と共に重複癌の早期発見にも留意し, 積極的な癌検診の受診の指導をする必要がある. 明らかなHNPCC症例だけでなく, 右側結腸癌や多発癌も重複癌発生の危険群と考えられた.