Lung Adenocarcinoma Manifested as A Pulmonary Thromboembolism.

背景 悪性腫瘍の経過中に肺血栓塞栓症が生じることは多いが, 肺血栓塞栓症が初発で, その治療経過上に肺癌および癌性胸膜炎が発見されることは稀である. 難治性の経過をたどった1例を経験したので報告する. 症例 59歳男性で, 生来健康. 左側胸部痛, 呼吸困難を主訴に当科入院. 胸部レントゲン写真にて両側胸水を認め, 低酸素血症を呈していた. 肺血流シンチグラフィ, 胸部CT検査が行われ急性肺血栓塞栓症およびそれに伴う右心不全と診断した. 抗凝固剤, 利尿剤等による治療が開始されたが, 右側胸水貯留が増悪するため, 施行した胸腔穿刺で腺癌と診断された. その後も肺血栓塞栓症を反復し, 約2ヶ月の経過で死亡した. 剖検により, 肺腺癌と診断された. 結論. 先行する肺血栓塞栓症の肺癌合併症例にも注意が必要である