Sustainable Malaria Education : Epidemiology survey on malaria knowledge and behavior among elementary school children in East Lombok (ESMKB AESCEL)

WHO(世界保健機関)は 1998年から,マラリア罹患者の半減を目指し,Roll Back Malaria Program をスタートした。世界各国とともに長年にわたる多大な努力を重 ねてきたが,マラリアは現在においても,熱帯途上国を中心に深刻な医療健康問題で ある。東南アジア諸国では 430万人が罹患し,2426人が公式に犠牲となっている (WHO レポート,2011)。インドネシアにおいても,マラリアはパプア,スマトラ, カリマンタン,セレベス,マルク,東西ヌサテンガラなどの周辺地域で依然として, 最悪の感染症の一つである。 西ヌサテンガラ州のロンボク島では,2005年にマラリア・アウトブレイクが発生 し,多くの患者と死者が出た。マタラム大学医学部ムリヤント教授と佛教大学社会学 部満田との国際共同研究チームは,2006年からアウトブレイクが発生した東ロンボ クの 4つの地区で,マラリア感染拡大に関する社会疫学調査(CBDESS I and II) を実施した(Mitsuda and Mulyanto; 2006, 2007, 2008, 2009)。さらに,マラリア 制圧を目指した社会学的手法,とくに CBDESS 調査を支援したマラリア専門員によ る地域力向上(community empowerment)を試み,マラリア死者がゼロという一 定の成果を上げた。 本研究では,前回の世帯主を対象としたマラリア社会疫学調査(CBDESS)に準拠 し,同一地域の小学生 400名を対象に「マラリア知識と行動に関する社会疫学調査」 (ESMKB AESCEL)を実施。調査結果を医学生が医学知識とともに指導すること で,小学生へのマラリア教育を実践した。さらに Health Messenger として「マラ リア見守り隊(Malaria School Scout: MASCOT)」を創設し,この小学生活動を通 して,家庭,学校,地域などでマラリア制圧プログラムを浸透させる試みをおこなう。 ESMKB AESCEL のデータをパス解析することで,「子供のマラリアに関する情 報源」の因果律を検証すると,マスメディアや医療関係者でなく,「母親」の影響, とくにその学歴が最重要な要因であった。「MASCOT]プロジェクトでは,今後とも 母子の健康と教育に焦点を当てたプログラムを実践する。