A CASE OF METASTASIS TO THE ABDOMINAL WALL AFTER SURGERY FOR EARLY GASTRIC CANCER

症例は62歳, 男性. 1年4カ月前, 胃体下部のType5病変に対し, 幽門側胃切除術+D2郭清が施行された. 病理組織学的所見は, type5, 4.5×3.5cm, sm, tub2, INFβ, intermediate, ly3, v1, n2, pT1, pN2, sH0, sP0, sM0, CY0, Stage IIで根治度はBであった. 退院後経過観察中, 術後9カ月目に左側腹部痛が出現し外来受診した. 触診上臍下左側に, 有痛性の硬い腫瘤を触知し, 画像検査にて4cm大の腫瘤を認め, 腫瘍マーカーの上昇がみられたため胃癌の腹壁転移と診断した. 腹壁以外の他臓器に転移を疑わせる所見なく, 転移巣の外科的切除が行われた. 胃癌の腹壁転移は稀であり, 特に孤立性転移の報告は少ない. また早期胃癌からの腹壁転移の報告はなく, 貴重な症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.