A Learning Program to Understand differences between Virtual Images and Real Images

われわれは簡易な道具や教具を用いて光の諸現象を学ぶ教 材について検討を続けてきた. 前回は,手鏡の枚数を段階的 に増やすことによって,反射における光の行路を幾何学的に表 現し,実像と虚像の理解へと導く学習プログラムについて報告 した.今回は,立体的に見える像の観察を通して,虚像と実像 の相違点の理解を深める学習プログラムについて議論する. 反射によって立体像が観察される例に,ボルマトリクスと呼 ばれる凹面鏡による合わせ鏡がある.図1に示すように凹面鏡 の底に小物体を置くと,その直下に反射光による虚像が見られ る.同じ形状でその中央に穴のある凹面鏡で,これに蓋をする と,2回の反射によって作られた実像が浮き上がって見られる (図2).手を差し伸べてもこれをつかむことができず,実物 と区別がつきにくい.真上付近からこれを眺めると,底付近に 実際の物体とその1回反射の虚像があり,穴付近には.2回反 射と3回反射による実像がある(図3). 凸レンズで立体的な実像を観察するには,屈折光が大きな立 体角で焦点に集まる必要がある.そのためには,凸レンズとし て,面積の大きなフレネルレンズを用いるとよい(図4).小 型凸レンズを通して見られる実像が立体的でない理由を,レン ズの大きさと立体角および観察者の両眼の位置とを関連づけ て考察する授業を展開する. また,光の行路を作図することによって,焦点の概念を導入 し,虚像と実像が立体視されることの理解へと進む. 以上の事項を組み合わせた授業構成について考察する. 図1.凹面鏡に載せられた物体.