Development of Assistive Software on Travel Route Selection for the Visually Impaired

1.は じめに 厚生労働省が平成13年 に報告 した視覚障害者の実態調査結 果によると,全 視覚障害者の うちの約半数は殆 ど外出していな い.通 常,外 出経験の少ない視覚障害者が外出を試み るときに は介助者が 目的地まで誘導するスタイルをとる事が多い.こ の 場合,目 的地までの移 動経路は介助者が決定する.な ぜなら, 経路を決定するためには 目的地までの経路周辺の地理情報が必 要 となるからである.外 出に対 して消極的な視覚障害者にとっ て目的地周辺の地理情報は未知であるので,都 市のイメージの 形成が不完全であ り,移 動経路を決定することは心理的負担を 大きくする要因にな りうる.こ のことは,外 出経験の少ない段 階での視覚障害 者の外出に対する達成感あるいは 自己効力感[1] の向上は殆 ど期待できない,と い うことを意味する.そ して, 介助者主導型の移動行動の経験が積み重なると,視 覚障害者の 外出に対する意欲 は益々消極的になると考え られ る.こ のよう な経緯 から視覚障害者に外出意欲を出してもらうためには,介 助者主導型ではあっても,主 体性が視覚障害者にあるような形 の新 しいタイプの支援技術が必要である.