Fruit rot of passion fruit caused by Botrytis cinerea and Sclerotinia sclerotiorum.

要 約 東京都八丈島のパ ッションフルーツ園 で,果 実が腐敗 し,早 期 に落果 する病害が発生 した.腐 敗果 には灰褐色の菌糸を密生す るもの と,大 形黒色の菌核を形成す るもの とが見 られた.前 者 か らはBotrytis sp.が,後 者 か らはSclerotinia sp.が 分離 された.Botrytis sp.の 分生子 は淡灰 色,単 胞,卵 円形,9-13×7-10μmで あ り,ま た多犯性 ,Botrytis cinereaと 同定 され た.本 病菌による 果実の腐敗の記録は はじめてである.病 名 はパ ッションフルー ツ灰色 かび病 を採用 した.Sclerotinia sp.は 大形 の菌核を形成 し,子 の う 盤を発生 させ る.子 の う盤 は淡褐色で皿状に展開 し,径3.5-6mmで あ る.子 の うは無色,棍 棒状,127-160×7-12μm.子 の う胞子 は 無色,単 胞,楕 円形,11-15×6-7.5μmで ある.ま た多犯性 であるのでSclerotinia sclerotiorumと 同定 された.本 病菌によ る果実 の腐 敗の記録はは じめてである.病 名はパ ッションフルーツ菌核病を採用 した.両 病菌 の発育適温及 びpH価 は,20-25°C, pH5.0-7.0で あ り,類 似 した発育相 を示 した. キーワー ド 果実腐 敗,菌 核病菌,灰 色か び病菌,パ ッシ ョンフルーツ