Analysis and Control in Obstacle Clustering by Distributed Autonomous Robots

世の中の物理現象は,その現象を構成している個々の要素(エージェント)は非常に単純な構造や規則(制御 則)で成り立っている(または成り立っていると考えられている)にもかかわらず,要素(エージェント)間の 相互作用によって全体としては複雑な現象となるものが存在する.例えば,蟻や蜂などの社会的昆虫は個体レベ ルでは単純なルールと局所的な相互作用に従って機能しているにもかかわらず,集団としては高度かつ柔軟で適 応的な機能を発現することができる (1) .このように生物が集団として見せる適応的機能を人工システムの構築 に活かすべく,移動体群に関する研究はこれまで様々な視点からアプローチが試みられている (3) .その中でも, Deneubourgは分散している餌をクラスタ状に収集する行動を簡単なルール で発現できることを示し ,Pfeifer らは身体性を活かしたロボットを設計することで障害物凝集が実現できることを示した . この Pfeiferらによって提案された Swiss Robotはフィールド内に散らばった障害物(静的エージェント)に対 して,ロボット(動的エージェント)自身に高度な制御則を内在せず,左右前方に搭載されている近接センサによ る単純な回避反応のみで障害物凝集を実現している.このように,ロボットに与える制御則やルールは非常に単 純なものでありながら,環境との相互作用を活かした身体設計を行うことで高度な能力を発揮できる点は非常に 興味深い. これまで,Swiss Robotなどの具体例に着目し,それぞれの解析を進めてきた が,創発的な振る舞いであるた め,連続システムでは解析が非常に難しく,さらに連続システムではエージェントの規則やその相互作用は無限に 考えられるため,発現される現象も無数のパターンとなる可能性があり,個々の現象の解析を進めたとしても設計 論への適用は難しいといった問題点がある. 自律分散ロボット群による障害物クラスタ形成の解析と制御