MATHEMATICAL MODEL FOR ANALYSIS AND PREDICTION OF HYDRAULIC BEHAVIORS IN RESERVOIR DYNAMICS IN VIEW OF THERMAL ASPECT

貯水池は自然水を水資源に変換するための土木施設の 1つであり, その目的の達成. 機能の発揮は, 水利用の 高度化 ・多様化が進んだ今日では, 貯留水の量的ならび に質的配分の最適化として記述されるようになり, これ らに関する諸問題が重要な研究課題として大きく取り上 げられるようになってきた. 一方, 貯水池の建設により自然の流況を変化させた結 果, 新しく貯水池に水質問題が顕在化し, われわれを取 り巻く各種の環境に悪影響を及ぼす恐れも生じてきた. 特に, 貯水池における冷水生起, 濁水長期化, 富栄養化 が緊急課題となり, 現在各種のレベルの研究機関, 行政 機関において, 各種の調査, 研究による課題の解明とそ の対策の樹立が活発に進められている. 本論文は, こうした緊急研究課題の詳細な把握と, そ の技術的対策手段の開発ならびに評価, さらには今後の 貯水池計画への基礎的知見を与えることを目的として, 著者らが, 数年来開発を進めてきた貯水池水理の解析手 法を, これまでの研究成果 に基づいて論じたものであ る. まず, 長い時間スケールからみたときの, わが国の多 目的貯水池のもっ水理, 水文的性格とその定性的な分類 について概説し, それに基づいて, 解析対象とする水理 要素とその特性を成層型貯水池における観測例を用いて 明らかにする. っいで, この特性に基づいて, 貯水池水 理の解析法を論じ, コントロール. ボリューム法を用い たその数学モデルの開発と数値解析法を説明する. この モデルの特徴は, 水理要素の変化を水深方向および流下 方向に関する二次元的なものとして取り扱うとともに, 従来無視されてきた運動量保存則を用いて貯留水の運動 学的挙動 を表現 し, 従来 のこれ に関す る諸仮定 および そ れ らに伴 う不確定 なパ ラメーターの導入 を排 して, 現実 の流 れの挙動 をできるだけ忠実 に近似 した ことである. これ らは, 貯水池水理 をよ り正 しく理解す る うえで重 要であ り, その意 義を明 らかにするため, 従来 の数学 モ デル, 特 に水温 の予測 モデルについて総括 し, それ らの 特徴 と問題点 を論ず る. さ らに, 得 られ たモデルおよび 従来 のモデルを用 いて, 実 際の貯水池 における水温 の挙 動 を数値解析 した結果 をい くつ か示 し, それ らを比較, 検討 して, 各 モデルの適用性 とその限界 を考察す る とと もに, 今後 の研究課題 について述 べる.