A CASE OF URACHAL CARCINOMA

症例は51歳,男性.下腹部腫瘤を主訴に来院した.臍部から恥骨上縁に新生児頭大,弾性硬の腫瘤を触知した.骨盤CT検査,骨盤MRI検査で膀胱頂部に10×8cm,内部に粘稠な液体を有すると思われる腫瘍を認めた.尿膜管腫瘍と術前診断し手術を施行した.腫瘍は腹横筋膜と腹膜の間に存在し,膀胱頂部と連続していた.周囲臓器への浸潤,骨盤内リンパ節の腫大は認めなかった.腫瘤摘出術,膀胱部分切除術を施行した.標本内にはゼラチン様物質が充満し,組織学的にはムチン産生性高分化型腺癌であった.最終的に尿膜管癌と診断した.尿膜管癌は比較的稀な疾患であり,泌尿器科にて血尿などで発見されることが多いが,下腹部腫瘤のみで外科を来院することもあり鑑別の際,本症の存在を念頭におくことが肝要である.