Enhancing Reliability in Hybrid OS System with Security Hardware

あらまし 近年,カーナビゲーションシステムの高機能化は著しく,一台のコンピュータ上で,ナビゲーショ ン等の情報系の機能に加えて,ブレーキやエンジン等と連携する制御系の機能も実行する必要がある.制御系の 機能は情報系の機能と比較して,高い信頼性やリアルタイム性が要求される.そのため,汎用 OS と RTOS を ハイブリッド OS 方式や VMM 方式を用いて,並列に実行し,それぞれの OS で情報系の機能と制御系の機能 を実行する方法が考えられる.しかしながら,ハイブリッド OS 方式を用いて OS を並列に実行した場合,制御 系を情報系から保護できず,システム全体としての信頼性やリアルタイム性が確保できない.また,VMM 方式 では実行オーバヘッドやリアルタイム性が問題となる.本論文では,組込み向けプロセッサがもつセキュリティ 支援ハードウェア(TrustZone)を利用して,ハイブリッド OS 方式を高信頼化する方法を提案し,実機による 評価を行った.本提案方式を用いることで,制御系を情報系から保護でき,システム全体としての信頼性やリア ルタイム性が確保できる.評価の結果,実行オーバヘッドは十分小さく,また,情報系の実行状態にかかわらず, 制御系のリアルタイム性が確保できることが分かった.本提案方式は,実行する OS に対する制約が緩やかであ るため,携帯電話,NC 工作機械などの,制御系と情報系から構成される組込みシステムに適用可能である. キーワード ハイブリッド OS,信頼性,セキュリティ,リアルタイム OS