Virus-associated hemophagocytic syndrome (VAHS)を伴った慢性活動性EBウイルス感染症の一成人剖検例-肝病変の検討-

症例は24歳, 女性. 発熱, 咽頭痛を主訴に受診した. 血液検査で汎血球減少, 肝機能異常, EBV-VCA-IgGの持続高値, EBV-EBNA陰性を示し, 肝生検組織および末梢血液からPCR法によりEBウイルスゲノムも検出したことから慢性活動性EBウイルス感染症と診断した. ステロイド, 抗ウイルス剤等による治療を行ったが, 緩解, 増悪を繰り返し死亡した. 経時的に観察しえた肝生検では, 次第に門脈域を中心とした線維化と炎症細胞浸潤が, また肝細胞内には脂肪変性も明らかに増加した. さらに最終的には類洞内に赤血球を貪食した泡沫状腫大組織球が稀ならず見られ, Virus-associated hemophagocytic syndrome (VAHS) が示唆された. 剖検ではVAHSと一致する所見が肝以外に脾, 脊椎骨骨髄, 膵周囲リンパ節にも存在した. 慢性活動性EBウイルス感染症はVAHSを伴う場合, 予後不良なことが多く, 肝生検はその診断上の重要な手掛りを与えるものと考えられた.