Why was Nichinto Effective, Although Rikkunshito and Shohangekabukuryoto were Ineffective?

吐き気,嘔吐は,日常よく遭遇する症状であるが, 繰り返す嘔吐,ないし長期にわたって持続するもの は,患者の摂食意欲も低下させ,気力体力の面から も,精査ないし対処しなければならないものである。 今回,摂食により,嘔吐を繰り返すも,明らかな器 質的原因がなく,西洋医学的治療が無効であったた め,漢方治療を求められ,当科に紹介受診となり, 最終的に二陳湯が有効であった症例を経験した。二 陳湯は水毒に対する多くの漢方方剤の基本方剤であ り,これから派生する多くの方剤が日常診療で多用 されている。しかしながら,メンタルヘルス的主訴 に二陳湯が奏効したという報告はあるものの,二 陳湯そのものが嘔吐に著効したという報告は少なく, 調べた限りにおいて,近年ではみられなかった。ま た治療経過中に,六君子湯,小半夏加茯苓湯という 二陳湯類似処方が投与されていたが,いずれも無効 であった。ここに著効例を提示するとともに,若干 の考察を加えて報告する。 症 例:28歳,女性 主 訴:吐き気,嘔吐 既往歴:20歳時に急性虫垂炎にて手術 家族歴:母;皮膚筋炎,間質性肺炎 現病歴:2年前にノロウィルス感染症に罹患。そ 六君子湯,小半夏加茯苓湯が無効なのに, 何故,二陳湯が有効だったのか?