Open RemoteGIG: An Open-to-the-public Distributed Session System Overcoming Network Latency

本論文では,Internetのような広域ネットワークを経由して,不特定多数のユーザが遠隔地間でジャ ムセッションできるシステムOpen RemoteGIGを提案する.本研究は,物理的に 1カ所に集まらな くても,音楽的なインタラクションを楽しむことができるセッションを実現することを目的とする. 従来,遅延の小さいネットワークを介した MIDI中継は実現されていたが,遅延の大きい Internet 等を介した双方向のMIDI中継によって,調性とリズムのある音楽を合奏することはできなかった. そこで本研究では,不可避な遅延を積極的に利用した,調性とリズムのある音楽のための新たな形態 の遠隔セッションシステム Open RemoteGIGを実現した.Open RemoteGIGでは,同一のコー ド進行(12小節のブルース進行等)の繰返しを,テンポ一定で演奏することを前提として,遠隔地 にいる複数の演奏者が Internet経由のセッションを行う.演奏者は,お互いの演奏をコード進行の 1 周期の整数倍の時間だけ遅れて聞き合いながら,即興演奏する.コード進行は繰り返すため,遅延し た演奏は再び同じコードとなり調和する.さらに,Open RemoteGIGは,演奏相手の発見環境や打 合せ用のチャット機能も提供する.MIDI中継は音楽用通信プロトコル RMCPに基づいて実装され, 実際に遠隔地間で提案したセッションをできることが確認された.