Software Engineering Education Based on Practical Software Development Experiments

Javaや UMLをはじめとするオブジェクト指向によるソフトウェア開発技術は多くの IT企業から 注目され,ソフトウェア開発技術者の育成が大学に求められている.産業界の求めるソフトウェア開 発技術者を育成するためには,講義や簡単な演習のみではなく,ソフトウェア工学の知識を活用して 様々な場面における問題解決能力を養うための実践的なソフトウェア開発を経験する必要がある.こ のような PBL(Project Based Learning)は学生が講義で得た知識を活用しながら主体的に問題解 決を行う力を養う効果があることから,近年注目されている.しかし,大学学部教育において実践的な ソフトウェア工学教育を行うためには,前提知識となる科目の教育,適切な課題設定,評価方法も含 めた学生自身が遂行可能な授業設計とその支援環境の構築といった問題を解決する必要がある.我々 は 2002年度より,学部 3 年生を対象に後期の授業として,オブジェクト指向開発を用いたグループ ワークによるソフトウェア開発実習を実施している.本実習は半期をかけてある程度複雑なシステム を 8 人から 10 人程度のグループで開発するソフトウェア開発の全工程を体験する PBL である.本 稿では,我々の実践的なソフトウェア工学教育を行ううえでの問題に対する取り組みを紹介し,5 年 間の適用結果に基づいてその有効性について議論する.