[A case of familial type IIa hyperlipoproteinemia with a huge intracranial xanthoma, hypertension, and periarticular bone lesions (author's transl)].

頭蓋内に巨大な黄色腫をみとめた家族性II型高脂血症の報告は,著者が調ベた範囲では未だなく,きわめて希な症例と考えられたので報告した.症例. 29才,男性. 2才よりアキレス腱部に黄色腫が出現し,四肢諸関節の周辺部にも多発するようになつた.同時に殿部にも皮膚黄色腫が生じた. 22才高血圧(収縮期160mmHg)を指摘され,しだいに頭痛が増加するため当科に入院した.当科入院時血圧180/100mmHg,右後頭部から右側頭部に軽い膨隆あり.うつ血乳頭を認めた.検査所見では血清コレステロール(chol)値655mg/dlと著増しており,両親,姉,姪にも高cho1血症を認めた.本例の血清cholは姉の約2倍であることなどより,家族性II型高脂血症のホモ接合体と診断された.さらに頭部単純撮影で手拳大の骨透りよう像, CT scanで右後頭蓋窩から右中頭蓋窩にかけて境界鮮明,不均一なhigh density areaがみられた.右総頚動脈造影では同部に血管の乏しいspace occupying lesionがみられた.開頭すると黄色調の強い腫瘤が出現し,前方は右外耳道後壁,後方は右後頭蓋窩中央部,内側は正中線近くまで広がつていたが,脳実質への進展はなく,硬膜外に局在していた.組織像は陳旧性の黄色腫の像を示し,腱黄色腫と同一の組織像を示した.頭蓋内黄色腫摘出後,うつ血乳頭は消失し,血圧も正常化した,また四肢諸関節部の骨X線像で,黄色腫の圧迫によると考えられる骨皮質浸蝕像もみられた.