Case Study of Toxicity Identification Evaluation (TIE) Applied to the Selected Factory Effluents in Tokushima, Japan

わが国の水質汚濁防止法の対象となる特定事業場の数は,平成24 年 3 月現在で約26万3000件となっている 1)。この昭和45年に制定さ れた水質汚濁防止法によって全国一律の排水基準が設定され,加え て放流先水域に応じて都道府県により上乗せ基準が設定されたこと が,昭和30年代頃に甚大な被害をもたらした水俣病などに代表され る深刻な水質汚濁の防止に効果を発揮してきた 2)。基準対象項目と しては,重金属や有機塩素系溶剤などの健康項目28種に加え BOD や CODなど生活環境項目15項目が設定されている 2)。自主管理対 象である PRTRの第一種指定化学物質462種 3)を加えたとしても, アメリカ化学会の Chemical Abstracts Serviceに登録されている物 質数約9000万種 4)(平成26年 8 月現在)や国内で使用されている化 審法登録物質数の約 2万種 5)と比較して決して十分とはいえない。 そのため,2012年 5 月に発生した利根川水系におけるヘキサメチレ ンテトラミンのような未規制物質による水質事故 6)のほか,各物質 の複合的な影響についても対応できていないのが現状である。また, 規制対象物質や項目,ならびにその候補物質は年々増加の一途をた 報 文 [環境化学(Journal of Environmental Chemistry)Vol.25, No.1, pp.11-17, 2015]