A Case of Distal Gastrectomy and D2 Lymph Node Dissection with Arterial Reconstruction for Advanced Gastric Cancer after Coronary Bypass Grafting Using the Right Gastroepiploic Artery

右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス手術後に発症した下部進行胃癌に対して, 脾動脈-右胃大網動脈グラフト間の血行再建とD2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した症例を経験した. 症例は73歳の男性で, 既往歴として7年前に狭心症に対する冠状動脈バイパス術(3枝: 両側内胸動脈, 右胃大網動脈)を施行されている. 今回, 突然の黒色便を主訴に受診し, 精査したところ, 幽門前庭部に進行胃癌が発見された. 2004年2月本術式を施行し良好な経過が得られた. 本術式は腹腔内からのアプローチのみで冠状動脈への血行再建を施行できる点, 右胃大網動脈を根部処理するため進行癌に対して確実な6番リンパ節領域の郭清ができる点に特長がある. 検索した範囲で, 同様の術式の報告はなく, 今後右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス手術後に発症した進行胃癌に対する手術法として選択される術式のひとつとなりうると考えられた.