Evaluation of Transmission Performance of MIMO Multiplexing in 42-GHz Band by using Orthogonal Polarization in Line-of-Sight Environment

We have been developing a wireless high-definition television (HDTV) camera called ”millimeter-wave mobile camera”. In this development, low-compression HDTV transmission with low latency and high link reliability is required, so an application of the multiple-input multiple-output (MIMO) technique and millimeter-wave band for the camera was examined. In this paper, to use the camera in a line-of-sight environment, the outdoor transmission performance of a MIMO multiplexing transmission device equipped with orthogonal polarized omnidirectional antennas was measured. In conclusion, it was confirmed that MIMO channel correlation was reduced to less than 0.45 and the BER performance became better. キーワード:ミリ波帯,ワイヤレスハイビジョンカメラ,MIMO 多重,直交偏波,見通し環境,チャネル相関 1. ま え が き 番組撮影に用いるハイビジョンカメラのワイヤレス化に より,機動性の向上による多彩な映像表現の実現,出演者に ケーブルの影響を与えない安全性の向上などの効果が期待 できる.筆者らは,有線接続のハイビジョンカメラの撮影映 像と比較しても遜色ない高画質な圧縮ハイビジョン映像を 無線伝送するハイビジョンワイヤレスカメラの開発を進め ている.このカメラには,撮影者が自由に動いても映像が 途切れない高い回線信頼性,視聴者に違和感を与えない高 画質 (圧縮後の映像レート 100Mbps程度),低遅延 (映像遅 延 1~2フレーム以内)でのハイビジョン映像伝送が要求さ れる .そこで,広帯域利用が可能なミリ波帯 (42/55GHz 帯)電波と複数の送受信アンテナを用いて,伝送容量やダイ バーシティ効果の向上を実現するMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)多重伝送技術を用いた無線伝送システム 「ミリ波モバイルカメラ」の検討を進めている. このMIMO多重伝送技術は,反射波が少なく伝搬路同 士の相関が高い見通し環境においては,その信号分離性能 2011 年 10 月 21 日受付,2012 年 1 月 12 日再受付,2012 年 1 月 23 日 採録 †NHK 放送技術研究所 (〒 157–8510 東京都世田谷区砧 1-10-11, TEL 03-5494-3457) † Science & Technology Research Lab, Japan Broadcasting Corporation (NHK) (1–10–11, Kinuta, Setagaya-ku, Tokyo 157–8510, Japan) が大幅に劣化する.筆者らは,見通し環境でのミリ波モバ イルカメラ運用の実現のため,直交偏波を用いた伝搬路同 士の相関性の抑制と伝送特性の向上の検討を進めてきた . 今回,新しく試作した垂直偏波/水平偏波の 42GHz帯オ ムニアンテナを実装したMIMO多重伝送装置の屋外見通 し環境における伝送実験を行い,直交偏波の利用によって 直交偏波電力比 (XPR: Cross-Polarization Power Ratio) が増加し,送信相関の抑制および伝送誤りの大幅な軽減を 確認することができたので,報告する. 2. 42GHz帯垂直/水平偏波オムニアンテナ 撮影者がアンテナの指向性を意識せず自由に動いても途 切れない無線伝送を実現するため,ミリ波モバイルカメラ の送信アンテナには,水平面無指向のオムニアンテナを用 いている.また,受信アンテナを櫓の上部や照明バトンなど 撮影者に対して斜め上方向に取り付けて運用するため,水 平面を中心に送信アンテナの半値幅が 60度以上となるよう に設計する必要がある.さらに,直交偏波を用いるMIMO 多重伝送を導入するためには,各送信アンテナで同一の放 射パターンを持ち,偏波間で高い交差偏波識別度 (XPD: Cross-Polarization Discrimination)が要求される. 今回,42GHz 帯垂直偏波オムニアンテナ (以下,垂直 オムニ)と,このアンテナに直交偏波変換板 3) を装荷した 42GHz帯水平偏波オムニアンテナ (以下,水平オムニ)を 試作した.図 1に垂直オムニと水平オムニ,図 2に水平オ J88 映像情報メディア学会誌 Vol. 66, No. 3, pp. J88~J92(2012) © 2012 社団法人映像情報メディア学会