A URACHAL ABSCESS SECONDARY TO PERFORATION OF A SIGMOID DIVERTICULUM PRESENTING WITH AN UMBILICAL DISCHARGE -A CASE REPORT-

大腸憩室の穿孔に起因する尿膜管膿瘍を経験したので報告する.症例は78歳,男性.無熱,無痛性の臍部からの膿性分泌を主訴に当科を受診した.検尿は正常であったが,膿の培養にて大腸菌を認めた.腹部CTにて臍下から膀胱へと連続する5cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.また, S状結腸に多発する憩室を認め,一部大腸壁と嚢胞壁との境界は不明瞭であった.大腸憩室に起因する尿膜管膿瘍の疑いで手術を行った.術中所見にて,腫瘤は7cm大で臍下方に存在し,内腔に黄白色の膿汁を有していた.腫瘤は臍部へと瘻孔をもって交通し, S状結腸とも瘻孔を認めた.膀胱とは接するものの交通は認められなかった.以上の所見と腫瘤の局在より,大腸憩室の穿通に起因した尿膜管膿瘍,尿膜管臍瘻と診断した.尿膜管膿瘍にて尿膜管臍瘻をきたした報告は稀に認められるが,大腸憩室症に起因したものは自験例が本邦ではじめてである.